12月に入ってから、「ハイジ」と「秘密の花園」の2冊の児童書を続けて読みました。ハイジはアニメ版も素晴らしいですが、原作には信仰といったテーマが流れているので、また少し趣が異なり、何度読んでも感動します。
今回のどちらの本も、両親を早くに亡くした少女が主人公。天真爛漫なハイジと、つむじ曲がりのメリーという一見対照的な性格の二人が、それぞれアルプスとイギリスの荒野という自然豊かな土地で、新しい家族や友人たちとの関係を築きながら、成長していきます。
その中で、神への信仰、周囲の美しい自然を育んでいる見えない力への敬意、友人たちへの愛情や信頼が育まれ、彼女たちや周囲の人々や環境に奇跡のような出来事が起こってきます。
普段、私たちが生きている現実は、こうした物語とはかけ離れているように思えるかもしれません。大人になればなるほど、取り巻く状況や問題はそう簡単には解決されないのだと心のどこかで思っていたりします。
それでも、ハイジやメリーの物語が示すような人間の内にある純粋さや信仰、信頼は私たちが本質的に必要としているものであり、直面する問題を乗り越え、自分にも周囲にも喜びや幸せをもたらす力なのではないかと思います。子ども向けの本は、シンプルだからこそ、生きる上で本当に必要なことや魂の本質について、まっすぐに語りかけてくれるように思います。
私たちは一人ひとりそれぞれ魂の物語を編んでいます。その物語は、生きる魂の数だけありますが、私たちが向かっている先はみんな同じです。誰もが存在の源へと向かう魂の旅の途上だからです。その時、その手に信仰や信頼があったら、その道はどれほど心強くなるでしょう。信仰は私たちの生命の源である神を信頼し、たゆまず道を歩んでいくことです。そして、信頼は周りの友人や人々とを結びつけ、互いに信じ合う力をもたらしてくれます。その信頼は目に見える友人だけではなく、見えないところで常に手を差し伸べてくれるガイドや守護大天使たちとの間にも、決して途切れることなく流れています。
ハイジとメリーの物語は、魂の内にある美しさや優しさ、変化をもたらす強さと力を見せてくれます。それらは私たちの内側にも本来備わっている資質であり、地上での経験を通じて、芽吹き開花するのを待っています。
私たちは誰でも、自分自身の心の内側を見つめることで、そうした資質の芽が出るのを阻んでいるものを取り除いて、その場所に愛や優しさといった美しい花を育てることができます。
私もカウンセリングの伴走者として、来てくださる方の心の庭に美しい種がたくさん花開いていくのを見ていきたいと願っています。
(2019年12月21日)