心の森 相談室

魂の成長と潜在意識Ⅲ

 日常的に自分自身のエレメンタルに直接取り組むことで、私たちは誰でも自身の行動や感情、思考のパターンを切り替えていくことができます。そのための具体的な方法の一つに内省があります。内省とは、自分自身のあり方を意識的に振り返ることで、潜在意識を浄化し、自己を内的に探求していくプロセスでもあります。ダスカロスに限らず、古今東西様々な教師たちが内省の重要性を説いてきました。

 内省を実践するのに必要なものは何もなく、取り組もうとする意志とそれをコツコツと諦めずに継続していく忍耐力さえあれば、どんな人でも日々の暮らしの中で実践することができます。

 ここでは、ダスカロスが伝えてくれた内省の方法をご紹介します。

 毎晩眠りにつく前の10分間、リラックスした状態で、その日一日にあったことをすべて思い出します。様々な出来事、人との出会いや関わり、その中での自分自身の言動や反応の仕方を丁寧に観察していきます。この時、自分自身や他者を批判したせずに、できるだけ第三者のような客観的な視点で見るようにします。
 そして、次のように自分自身に質問して、気づいたところから少しずつ改めていくようにします。

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思ったり感じたりすべきでなかったことで、思ったり感じたりしてしまったことは何か?
思ったり感じたりすべきだったことで、思ったり感じたりしなかったことは何か?
言うべきでなかったことで、言ってしまったことは何か?
言うべきだったことで、言わなかったことは何か?
すべきではなかったことで、してしまったことは何か?
すべきだったことで、しなかったことは何か?

スティリアノス・アテシュリス(ダスカロス)著 「エソテリック・プラクティス」P150より抜粋
 
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 内省すると言うと、「やらなければ!」と思って力んでしまうという方もいますが、人は誰でも多かれ少なかれ自分を観察したり、振り返ったりしているものです。これまで何となく無意識に行っていた内的な観察を、より意識的に行い、そして観察した対象を意識的に入れ替えていく作業が内省です。

 客観的に観察することが難しく感じたり、一日の様子全体を呼び起こすことが大変な場合には、まずは肩の力を抜いて、一日の中で気になった場面や反応の幾つか思い出して内省してみるなど、まずできるところから少しずつやってみるのも良いかもしれません。

 内省の習慣をつけていくと、自分の行動や心の動き、その背後にある動機などが段々とよく見えるようになり、夜の内省の時以外でも、様々な場面で自分を観察する意識が働いているのを感じられるようになります。

 また、自分の行動や思考や感情反応がエレメンタルというエネルギー体から強く影響を受けて、支配されている状態であることが体感的に分かるようになってくると、エレメンタルが本質的な自己としての私ではないということも徐々に感じられるようになってきます。そのことを常に念頭におきながら、内省することも大切です。例えば、ある感情が本当の私だと思い込んでしまうと、客観的に観察して、その感情のエレメンタルを新しい形へと切り替えていくのが難しくなってしまうためです。

 潜在意識に蓄積されているエレメンタルには、ポジティブなものとネガティブなものの両方がありますが、内省で取り扱うのは主にネガティブなものです。内省による観察と問いかけは、こうしたネガティブなエレメンタルに意識の光を当て、識別し、それを実際に弱めたり、解消していく作業なのです。

 それは、潜在意識という巨大な倉庫の掃除や片付けとも言えるかもしれません。物質的なこの世界でも、荷物が山積みになった部屋を片付けようと思ったら、ガラクタと必要なものを一つひとつ見分けて、要らないものを処分して、空間を空けて、整理していく必要がありますが、それと同じようなもので、潜在意識も掃除して、新しい空間を空けて、新しく良いもので空間を満たす必要があります。そして、当然そのためには時間と継続した努力が欠かせません。

 ただ、部屋の片付けと一つ異なるのは、潜在意識に意識的に取り組む努力と結果は、一つの人生を終え、肉体を離れた後にも持ち越されていくということです。肉体的な死を迎えるとき、肉体は徐々に解体され、物質的に得た財産も所有物も次の世界、または次の転生へと持っていくことはできませんが、潜在意識の中で取り組んだものは消えてなくなることはないからです。

 (2015年12月18日)